Our Role
What We Fight
私たちが重要と考える社会課題
平和は戦争の対義語ではない
私たち一人ひとりの穏やかで豊かな日常が守られること。
そして共存共栄な社会を築いていくことです。
私たちは、経済発展の恩恵を受けている人々がいる一方で、穏やかで豊かな日常を平等・公正に享受できずに取り残されている人たちがいることに疑問を感じています。
戦争や紛争などの衝突、貧困や不健康、不衛生な環境や災害など目に見える直接的な暴力はもちろんですが、不平等な力関係、搾取、格差、抑圧、差別、不遇などの目には見えにくい暴力も存在します。
こうした「見えない暴力」の多くは、当事者の自己責任ではなく、共存共栄を阻害する社会の構造的なメカニズムに原因があるのではないかという仮説を持っています。
積極的平和と4つの重要テーマ
1958年に平和学の父、ヨハン・ガルトゥング博士が提唱した「ポジティブ・ピース(積極的平和)」という言葉があります。 「貧困、抑圧、差別などの『構造的暴力』がない状態のこと」を指すこの言葉は、現代の社会経済システムのあり方が抱える矛盾や問題点を象徴しています。
参考:Johan Galtung – A Mini Theory of Peace
平和には、「消極的平和」と「積極的平和」の2種類の概念があるとされています。
「積極的平和」に対して、「消極的平和」は、戦争や紛争、あるいは直接的暴力がない状態を言います。
この考え方にヒントを得て、「見えない暴力」を象徴する4つのテーマを、社会のアジェンダとして取り組みます。
機会格差
サブテーマ
貧困、教育、雇用、情報、医療、地域など
目指す姿
排除されないこと、アクセス可能であること、選択肢があること、自由であること、挑戦できること
DE&I
サブテーマ
人種やジェンダー多様性、人権、尊厳、公正、包摂など
目指す姿
差別がないこと、包摂的であること、多様な生き方があること、個性を尊重すること、尊厳があること
安全
サブテーマ
安全保障、エネルギー・食料、犯罪、防災など
目指す姿
身体的・精神的に害がないこと、争いや侵害がないこと、豊かな暮らしや平和な日常への脅威がないこと
サプライチェーン
サブテーマ
原料・調達、資源循環、貿易・運輸、エシカルなど
目指す姿
相互に協調・協力すること、自立的であること、ステークホルダーや外部性に配慮していること
Our Activity
私たちのアプローチ
平和へのアプローチを、①文化的(家族愛・友情)、②社会的(コミュニティ・連帯)、③経済的(ビジネスパートナー)、④軍事的((牽制・奪い合い)に分類した場合、私たちは社会的・経済的アプローチから取り組みます。
Innovation Through Business
平和のアセットとビジネスの力を掛け合わせて、社会を変革する。
社会的・経済的アプローチによって平和を実現していきます。
特に、積極的平和の実現は、ビジネスセクターが主役です。
ビジネスセクターの強みである民間資本とイノベーションの力が、
平和を脅かす社会課題を解決し、インパクトを最大化します。
私たちは、平和資本経営を体現する企業を後押しし、平和ビジネスを通じて社会に価値を提供するビジネスリーダーの育成を目指します
Circulation of 5 Projects
平和×ビジネスに関する5つの価値創造サイクルを通じて、平和を可視化・価値化します。
自らの事業を通じて体現する企業の発掘、実践的な事例の調査や理論の研究、体現者と支援者のネットワークづくり、メディアを通じたロールモデルや事例の発信、次代を担うチェンジメーカーの育成。
平和×ビジネスに関する5つの価値創造サイクルがシナジーを起こすことで、積極的平和が社会アジェンダ化し、経営マターとなることを実現します。
平和企業と平和人材の発掘・支援
「平和×ビジネス」を体現する/志向する、次の①または②の企業や人材を発掘し、社会から後押しを受けらえるよう広報支援します。
①ビジネスの力を活用してソリューションを提供し、平和(積極的平和/消極的平和)への貢献に創造と変革をもたらす可能性を持つ企業や人材
②「平和資本」を活用したビジネスモデルやガバナンスを構築し、社会課題の解決とビジネスの成長を両立する実績やアイデアを持つ企業や経営者
平和資本の価値化・可視化と社会実装
財務資本や社会資本、自然資本、人的資本など既存の資本では表現できない「平和資本」が存在すると仮説を置き、以下の観点から調査研究とデザイン、知的財産の開発を行います。
①平和資本とはどのようなものなのか
②社会や経済全体にとってどのような価値があるか
③個人や企業の意識・行動変容を促すにはどうすればよいか
4 Critical Issues & 3 Key Strategies
企業の行動変容を促す、4つの外部環境の変化と3つの戦略を仮説設定
平和の維持・実現に向けて、企業の役割は大きいにもかかわらず、積極的な取り組みが進まない原因として4つ挙げられます。
一方で、外部環境は大きなパラダイムの転換期を迎えつつあります。2030年以降も存続し、社会に価値を提供し続ける、”社会から選ばれる”存在になるには、「目先のコストから、将来の投資へ」のスタンスの変更を迫られる可能性が高くなります。
企業の4つの経営課題と、それらを取り巻く外部環境変化
私たちは4つの外部環境変化を機会と捉え、3つのアプローチからビジネスセクターに働きかけ、行動変容を促します。
- 01サンドイッチ・アプローチ
- トップダウン×ボトムアップに同時にアプローチし、その仲介者である起業家をエンパワーメントする。
- 02ブラックシップ・アプローチ
- 外圧(標準・排除)で変え、事例(プラクティス)を呼び水とし、追随(横並び・ドミノ倒し)を誘因する。
- 03アナロジカル・アプローチ
- ESGの「Environment」に対する意識変容・行動変容のアナロジーを、「Social」へと拡張する。
Why peace? Why business ?
平和あっての経済、経済あっての平和
私たち一人ひとりの穏やかで豊かな日常が守られること。そして共存共栄な社会を築いていくこと。
その前提には、平和な社会と豊かな経済活動の両立があります。両者のバランスが崩れると、一方の持続可能性が損なわれ、もう一方にも連鎖します。
ビジネスのプラットフォームとしての国際平和の重要性
民主的で自由なビジネスには、広い意味での平和が大きな前提条件です。平和が保たれない社会は、争いや憎しみ、不均衡を生み、経済にも負の影響を与えます。
誰かの・何かの犠牲に成り立つビジネスは今後、支持されなくなっていくでしょう。
個人の平穏な日常や企業の安定した経済活動が守られないーその原因は、勝敗や奪い合いで成り立ち、対立や分断、争いを助長するあり方にあるのではないでしょうか。
ビジネスには、平和を脅かす社会課題を解決する責任と力がある
平和がビジネスの前提であるならば、企業は平和な社会の実現・維持に責任があります。
社会経済のメカニズムを支えるのがビジネスなら、それをより良く変えることができるのもまたビジネスのはずです。
ビジネスセクターに強みのある「民間資本」と「イノベーション」は、国際機関や政府にはない力です。そのベクトルを平和な社会の実現に振り向けることを促していきます。
Linking to SDGs
平和とSDGsとの関係性
2015年9月に採択された「2030アジェンダ」の前文では、「人間、地球及び繁栄のための行動計画」とともに「より大きな 自由における普遍的な平和の強化を追求」が謳われており、平和がSDGsの根底にある概念であることがわかります。 平和をSDGsのゴールの1つ(No16「平和と公正をすべての人に」)と捉える見方もありますが、広義の平和は、SDGs全体を根幹から下支えするものであり、SDGsの先にあるスーパーゴールでもある、と考えます。
Why us?
私たちだからこその独自性
国際平和拠点ひろしまが経験した平和の歴史、復興の歩みをアナロジーとして、現代の社会課題と経営課題の解決にも応用できるポテンシャルを見い出しています。
そして、世界有数の金融経済都市である東京に集積するビジネスの知見やネットワーク、情報発信力が、そのポテンシャルを最大限に引き出します。
このユニークネスがある私たちだからこそ、平和×ビジネスの価値創造(イノベーション)を通じて社会変革できると信じています。
Social Context
ビジネスの役割が増してきた社会的背景
なぜいま、「平和×ビジネス」なのか。
その背景には、分断が加速する世界情勢が、社会を不安定化し、経済にも無視できない影響を及ぼしつつあるからです。
ESG投資の拡大、SDGs達成に向けた世論、脱炭素などの気候変動対策、さらには米中の覇権争いやロシアによるウクライナ侵攻、そして新型コロナウィルスのパンデミック。
グローバルリスクが増加し、技術変化が激しいVUCAの時代が到来している現代は、国連や政府だけでは問題解決が難しくなっています。
新型コロナウィルスのワクチン開発、脱炭素に向けたESGマネーの流入と環境ビジネスの台頭、ウクライナへの衛星通信や防衛技術支援、ロシアや中国とのサプライチェーン断絶など、企業を取り巻く環境と役割への期待が脚光を浴びています。
日本では、政府が「新しい資本主義」を掲げ、ビジネスセクターを代表する経済同友会でも「共助資本主義」が掲げられるなど、ビジネスのあり方に変容が起きようとしています。
そして、ウクライナ危機の最中、2023年5月には、G7広島サミットが開催されました。
ビジネスセクターにとって、「平和」は対岸の火事ではなく、経営リスクであり、ビジネス創出の機会でもある、経営マターとなりつつあります。
Our Impact
私たちが社会に与える影響
- 013つの提供価値(アウトプット)
- コミュニティに参加・関与することで得られる3つの機会を通じて、個人の行動変容を促します。
・平和×ビジネスの可能性について学び、視野と視点を拡げる機会
・志を同じくする仲間と対話し、気づきと出会いを得る機会
・経営リスクへの対応と事業機会の創出に向け、行動を加速する機会 - 023つの目標(アウトカム)
- 「平和×ビジネス」の担い手を増やし、群としてのムーブメントを目指します。
・100 エバンジェリスト
「平和×ビジネス」の価値創造を広める伝道師を育成・認定する。
・100 チェンジメーカー
「平和×ビジネス」を体現し、変革するリーダーを発掘・支援する。
・100 ビジネスモデル
「平和への貢献」や「平和資本」を前提としたビジネス創出を発掘・支援する。 - 032つの創出価値(インパクト)
- 熱量・訴求・規模を高めながら、2つのインパクトをを創出します。
・企業やステークホルダーが「平和資本」を社会実装(当たり前のこととして取り入れている状態)すること
・社会経済全体が共存共栄型のメカニズムになっていること